がん性腹水治療とは
- 腹中に散在するがん細胞により様々な炎症が引き起こされ、その影響により、血管から水分や血液成分がしみ出してしまう状態を「がん性腹水」といいます。腹水が何リットルも貯まると、胃腸や腎臓が圧迫され、食欲不振や腎機能の低下を招きます。更に腹中に貯まった水が横隔膜を押し上げ、肺や心臓を圧迫し、多くの場合、非常な苦しさを引き起こします。腹水には必要な成分も多く含まれているいるため、腹水を単に抜くだけでは、症状がますます悪化する可能性があります。
- 「腹水ろ過濃縮再静注法(CART:Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)」は、取り出した腹水を特殊なフィルターでろ過し、更に必要な成分を濃縮し、それを静脈内に再度注入します。必要な成分は体内に戻し、水分や不要な成分のみを抜き去ることで、症状の改善を図り、患者さまの生活の質(QOL:Quality of Life)の向上を目指す治療法です。
- 更に、「腹水ろ過濃縮再静注法(CART:Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)」において、フィルターにより漉し取られた排液腹水には、がん細胞や血液細胞(血球)が含まれています。この排液腹水に含まれるがん細胞を回収し、ゲノム解析を行うことで、「がん免疫療法」や「分子標的療法」に活用することも可能となります。
腹水ろ過濃縮再静方法(CART)治療イメージ

当クリニックでは、連携医療機関の協力の下、「腹水ろ過濃縮再静注法(CART:Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)」と「がん免疫療法」や「分子標的療法」とを適切に組み合わせ、より効果の期待できる治療をがん患者の皆さまにご提供致します。