がん免疫療法

がん免疫療法の種類

がん免疫療法の種類

がん免疫療法には、いくつか種類があります。
また、がん細胞への攻撃の仕方には2パターンあり、自動車に例えるなら、「ブレーキがかかるのを防ぐ役割」と「攻撃する力を強めるアクセルの役割」に分けられます。

ブレーキがかかるのを防ぐ役割

免疫チェックポイント阻害療法

薬剤の開発に貢献した本庶佑 氏が2018年ノーベル医学生理学賞を受賞したことで話題となりました。
免疫にブレーキをかける「PD-1」を抑えてリンパ球の攻撃力を回復させる薬剤で、一部のがんについては健康保険の適応がなされています。
対象となるがんは、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫などです。

薬の種類*1薬の種類*2
PD-1阻害薬ニボルマブ(オプジーボ)
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
CTLA-4阻害薬イピリムマブ(ヤーボイ)
PD-L1阻害薬デュルバルマブ (イミフィンジ)
アテゾリズマブ(テセントリク)
アベルマブ(バベンチオ)
免疫チェックポイント阻害薬 ※2020年8月現在|国立がん研究センターがん情報

*1 細胞やがん細胞の表面にあるアンテナを標的にした薬で、標的にするアンテナによって分類します。アンテナの種類には PD-1、CTLA-4、PD-L1 などがあります。
*2 一般名(商品名)を示しています。薬によって、使用できるがんの種類が異なります。

サイトカイン療法

サイトカインは細胞間の情報伝達作用を持つタンパク質で、特異的な受容体と結合すると免疫反応の増強、制御、細胞増殖、分化の調節などを行っています。

様々な種類がありますが、中でもNK細胞・T細胞を増殖・活性化する「インターロイキン2(IL-2)」が転移性腎臓がんで保険適用となっています。
マクロファージ・NK細胞を活性化させ抗腫瘍効果のある「インターフェロン(IFN)」は腎細胞がん、多発性骨髄腫、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄性白血病、悪性黒色腫、悪性脳腫瘍、皮膚T細胞性リンパ腫で保険適用となっています。
また、IL-6などの炎症性サイトカインは抗腫瘍免疫を抑制することがわかっており、これらを排除する方法も開発されています。

攻撃する力を強めるアクセルの役目

エフェクターT細胞療法

現在、国内で保険承認されているエフェクターT細胞療法は、「CAR-T(カーティー)療法」と呼ばれる、患者さまが持っているT細胞を取り出し、がん細胞の目印を見分ける遺伝子(CAR : キメラ抗原受容体遺伝子)を組み入れて増やしてから、再び体の中に戻す方法です。

CAR-T(カーティー)療法は一部の血液系のがんに対して行われます。
ただし、意識障害や様々な臓器で障害が起こるサイトカイン放出症候群が起こりやすいため、原則入院加療による治療となります。
また、固形がんに対しては、残念ながらその効果は限定的なものになります。

がんワクチン療法

がん細胞の目印(抗原)の認識力を高めることにより、免疫細胞を活性化させ、がん細胞への攻撃力を高める治療法です。
原則的に保険適用外の自由診療となります。

ペプチドワクチン療法

がん細胞に多く発現する目印(抗原)である、タンパク質の断片「ペプチド」を利用します。
なお、攻撃の目印となるペプチドは200種類以上あり、化学的に合成してワクチンとして活用します。

ペプチドワクチン療法では、ペプチドを免疫賦活剤と共に直接体内に投与します。
投与したペプチドが樹状細胞などに取り込まれ「がん抗原」として認識されると、リンパ球などの免疫細胞が活性化し、同じペプチドを発現しているがん細胞への攻撃を行い、排除します。
なお、近年では「がん細胞」に発現が高いペプチドを利用したがん免疫療法「ネオアンチゲンペプチドワクチン療法」が一部の医療機関で行われるようになっています。
非自己のネオアンチゲンペプチドを使用することで、より免疫に認識されやすくなり、がん細胞が攻撃されやすくなります。

樹状細胞ワクチン療法

患者さまの血液から樹状細胞の元を取り出します。
体外で樹状細胞に分化させ、がんの目印(ペプチド)を加えて「がん抗原を持った樹状細胞ワクチン」を作ります。
ワクチンを投与すると樹状細胞が体内で新たにリンパ球を活性化させるため、がん細胞を攻撃することが可能となります。